Harry Potter and the Philosopher's Stone
Chapter 10 [00:34:42] "There is chocolate and peppermint, and there is also spinach, liver and tripe. George sweared he got a bogey-flavored one once. " (Ron Weasley)
bogey: 鼻くそtripe: 胃袋
あまり馴染みのない単語が出てきます。
chocolate と peppermint は良いですね?
spinach (/ˈspɪnɪdʒ/) は「ほうれん草」です。日本人にとってはピーマンやニンジンがそうであるように、イギリス人やアメリカ人にとってはほうれん草が子供が嫌いな食べ物の代表なのだそうです。なので、ポパイがこれを食べると怪力を出せるようになるのですね。大人の都合です。
ここでは発音でひとつだけ覚えてください。/p/ は強音の破裂音なので、破裂をさせた後に空気が流れる時間を作らなければならないのでしたね。ところがここではその必要はありません。
強音の破裂音 (/p/, /t/, /k/) でもその前が /s/ のときは日本語の「パ行」、「タ行」、「カ行」のように発音して構いません。/s/ 自体がエネルギーの強い音であるため、次の /p/, /t/, /k/ のエネルギーが取られてしまうためであると思われます。/s/ をしっかりと発音するようにしましょう。
spin, stop, ski なども同じです。pin, top, key では破裂音の後に空気の流れる時間がありますが、前に
/s/ が付く単語ではそれが無くなってしまいます。
Liver (/lɪvə/) は「レバー (肝、肝臓)」のことです。明治時代の日本人にとって /ɪ/ はやはり「エ」だったのです。イギリスの英語よりもアメリカの英語のほうが全体的に舌の位置は下がるので、より「エ」に近い音に聞こえるでしょう。
ちなみに「ハツ」は hearts、つまり「心臓」の複数形です。ハツはコリコリとした食感ですが、あれは心臓の肉です。弱音に比べて強音では前に来る母音の長さが短くなります。なので、やはり明治時代の日本人にとっては「ハーツ」ではなくて「ハツ」と聞こえたことでしょう。
母音 (次の例では /ɪ/ と /i/) が短い方から長い方に並べると sit (/sɪt/)、seat (/sit/)、Sid (/sɪd/)、seed (/sid/) の順になります。/ɪ/ よりも /i/ は長めに発音する傾向はありますが、seat と Sid の長さは同じくらい、結構いい勝負になります。
/i/ を /i:/ と書いて「長母音」であると説明しているものがあります。これは正しいです。一方で、「五七五」のように音節の長さを揃えてその個数でリズムを取る日本語のような言語を母国語にしている我々には誤解が生まれることがあります。
/ɪ/ と /i/ は音の長さよりも音の性質の違いに気をつけるようにしましょう。
tripe は内蔵、特に「胃」の部分です。焼肉つながりですが、「モツ」、「ミノ」、「センマイ」は英語ではありません。なぜかこれらは日本語が語源です。
bogey は「ハナクソ」です。ほかにも booger とか boogie とか言うことがあります。絶対に教科書には出てこない単語ですね。積極的に暗記する必要はないですが、耳に入ってきたときにわかれば損をすることはないでしょう。
私の友達で高校生のときにアメリカに留学してそのまま住み着いてしまった人がいるのですが、彼が「ボガーじゃなくって、なんていうんだっけ、これ?」と言いながらアメリカ人の女の子に自分のハナクソをホジッて見せて質問をしていたことがあったのを思い出しました。ハナクソが英語でわからなくても生きていく上では困らないようです。